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株式会社すうがくぶんか・東京工業大学理学院主催の数学イベント「現代数学レクチャーシリーズ2021」をニコニコで生配信決定数理ファイナンスから、数学界の一大トピック「宇宙際タイヒミューラー理論によるABC予想の解決」まで最高峰の内容を一般向けに解説
2021.08.18
株式会社ドワンゴ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:夏野剛)は、同社が運営する日本最大級のライブ配信サービス「ニコニコ生放送」にて、2021年9月12日(日)13時00分~18時30分に、株式会社すうがくぶんかと東京工業大学理学院が主催する数学イベント「現代数学レクチャーシリーズ2021」を生配信することをお知らせします。日本最大級のEdTechカンパニーとして、インターネットを通じて幅広い世代へ学術分野の学びに触れる機会を提供していきます。
本イベントの主催である、社会人のための数学教室「すうがくぶんか(https://sugakubunka.com/)」は、東京工業大学理学院と提携し、社会で活躍する様々な方が現代数学に触れることのできる機会を設けています。その一環として、「現代数学レクチャーシリーズ」と題し、数学者として活躍されている先生方の研究内容をできるだけそれに近い形で学んでいく講座を開講しています。
第4回目である今回は、コロナ禍のためオンラインで配信し、2部構成で開催されます。第1部「社会に広がる数学」では、東京工業大学 理学院数学系・理財科学研究センターの二宮祥一先生が、数理ファイナンスという主に金融の世界で用いられる分野に関する講演を行います。高度な数理的手法が実社会でどのように広がっているのかが感じられる内容となります。第2部「タイヒミューラー祭り」は、2012年に京都大数理解析研究所の望月新一教授によって発表され、8年半もの年月を経て今年専門誌に論文が掲載された数学界の一大トピック「宇宙際タイヒミューラー理論によるABC予想の解決」に関するパートです。望月先生の盟友・加藤文元先生と、正井秀俊先生、若林泰央先生の3名が、タイヒミューラー空間の理論からはじまり、p進タイヒミューラー理論、宇宙際タイヒミューラー理論と、望月先生の理論に到るまでの発展を丁寧に紐解きます。視聴者は流れるコメントを通じて双方向にコミュニケーションが取れ、一流の数学者と一緒に学びを深めることができます。
プログラム
第一部「社会に広がる数学」
講演者:二宮祥一先生
タイトル:「数理ファイナンスと確率論と数値計算」
内容:金融工学、数理ファイナンス、デリバティブ(金融派生商品)といった言葉が登場して世間を騒がしてから、はや30年が過ぎようとしています。この間にこれらは完全に現代の社会の最も重要な部分の一つとして当たり前の存在となりましたが、その最も基本的な部分ですら理解されているようには見えません。ここでは、その内容を数学的にわかりやすく解説したいと思います。
第二部「タイヒミューラー祭り」
講演者(1):正井秀俊先生
タイトル:「タイヒミューラー空間 — (不)自由なカタチ」
内容:カタチの自由と不自由について考える。制約が厳しいと、カタチは自由を失い変形できない。逆に制約が緩すぎると変形の自由度が高すぎて収拾がつかない。リーマンが考えたモジュライ空間、そこに”しるし”をつけたタイヒミューラー空間は「曲面の複素構造」の変形を考える空間である。そこには、程よい自由が、結果として豊かな世界があった。本講演ではタイヒミューラー空間における”しるし”の効能と、そこから見える”複素構造の壊し方”について解説する。
講演者(2):若林泰央先生
タイトル:「p進タイヒミューラー理論 — 失われたカタチを求めて」
内容:p進タイヒミューラー理論とはいったい何でしょうか。この理論は、素数が1より小さくなったり、さらには0になってしまうような数の世界が舞台です。そんな不思議な世界から「かたち」やその変形のようすをながめると、いつもと違う景色が見えてくるかもしれません。この講演では、幾何学と数論が交差するp進タイヒミューラー理論のココロについてお話しします。
講演者(3):加藤文元先生
タイトル:「宇宙際タイヒミューラー理論 — 数体のカタチ」
内容:宇宙際タイヒミューラー理論はABC予想の解決のために2012年に京都大学数理解析研究所の望月新一教授によって発表された理論です。この理論のアウトラインを、以前、私は「たし算とかけ算の絡み合い」をいかにしてほどくかという見地から、MathPowerで説明したことがあります。今回はこれを「数体のカタチ」のタイヒミューラー変形というアプローチから説明しようと思います。
出演者プロフィール
二宮祥一 Syoiti Ninomiya(東京工業大学 理学院数学系 教授)
東京大学理学部数学専攻卒業、IBM東京基礎研究所研究員、東京工業大学理財工学研究センター助教授、同教授を経て現職。
加藤文元 Fumiharu Kato(東京工業大学 理学院数学系 教授)
京都大学大学院理学研究科数学・数理解析専攻博士後期課程修了。博士(理学)。マックス・プランク研究所(独)研究員、レンヌ大学(仏)やパリ第6大学(仏)客員教授なども歴任。
正井秀俊 Hidetoshi Masai(東京工業大学 理学院数学系 助教)
数学論文データベースMathSciNet と名前がよく似ていて嬉しい。いつかマサイ族に会いに行きたい。
若林泰央 Yasuhiro Wakabayashi(東京工業大学 理学院数学系 助教)
京都大学大学院理学研究科(数理解析研究所)にて博士号取得後、東京大学大学院数理科学研究科特任助教等を経て、現職。
番組概要
番組名:東工大理学院×すうがくぶんか「現代数学レクチャーシリーズ2021」
~数理ファイナンス&タイヒミューラー祭り~
日程:2021年9月12日(日)13時00分~18時30分
出演者(敬称省略):二宮祥一、加藤文元、正井秀俊、若林泰央
視聴URL:https://live.nicovideo.jp/watch/lv333081853
※配信後のタイムシフト視聴が可能です。
主催:株式会社すうがくぶんか・東京工業大学理学院
協力:株式会社ドワンゴ
イベントページ
本イベントのHP (株式会社すうがくぶんか):https://sugakubunka.com/gendaisugaku-4/
関連ページ(Tokyo Tech Innovation):https://tokyotech-i.co.jp/2021math/
(近日中に公開予定)
*<ドワンゴのEdTech事業について>
*2016年4月、ドワンゴが運営するニコニコ生放送のシステムをもとに独自開発した、教材・生授業・フォーラムをスマホに最適化したオールインワン学習アプリ『N予備校』をリリース。双方向性システムを取り入れた生配信授業では、コメント投稿による質問や挙手ボタンによる回答添削、授業中の一斉アンケートシステムなど、学習効率と質を向上させる機能が特長で、大学受験・プログラミング・ゲームクリエイター・漫画家・ヘアメイク・声優など幅広い分野の講座を提供しています。学校法人角川ドワンゴ学園のオンライン学習プラットフォームとして導入されているほか、一般向けにも有料で公開しています。2021年4月からはVR技術を活用したVR空間上で学習できる授業教材の提供も開始。今後もテクノロジーで教育をサポートする様々なサービスや仕組みを提供してまいります。
【本件に関する報道関係のお問合せ先】
株式会社ドワンゴ 広報部 E-mail:dwango-pr@dwango.co.jp