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PRESS RELEASE

~ドワンゴ×NTT サービス事業者と通信キャリアのコラボ成果~

通信環境に応じて配信レートを予測する「視聴品質最適化技術」の実証実験
ニコニコ生放送に「H.265/HEVC」技術を適用実験開始
「バーチャルリアリティLIVE配信サービス」の実用化と初回放送実施

株式会社ドワンゴ
日本電信電話株式会社
2014年11月20日
   

 株式会社ドワンゴ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:荒木 隆司、以下ドワンゴ)と、日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下NTT)は、2013年7月より開始した業務提携の取り組みとして、映像&ソーシャルサービスの高度化に関する技術開発を推進しています。

 今回発表したドワンゴ×NTTのコラボレーション開発の成果第二弾では、「動画視聴時の体感品質向上」を目指した取り組みとして、本年2月に発表したサービス利用者の環境やネットワークの混雑状況に応じて最適な配信レートなどを過去の状況から予測する「視聴品質最適化技術」の評価結果を踏まえ、11月20日より実証実験を開始いたします。さらに、映像符号化の効率を高め同じネットワーク品質でもより高精細な映像を配信出来るようにする新たな取り組みとして、NTTの研究所が開発した「H.265/HEVC」(以下HEVC)技術をニコニコ生放送に適用する共同実験を開始しました。

 また、ドワンゴとNTTが共同開発した、限られた帯域で臨場感あふれる映像を配信できる「全天球映像向けインタラクティブ配信技術」を実装した「バーチャルリアリティLIVE配信サービス」を、11月17日に開催された歌手・小林幸子氏の日本武道館公演でニコニコ生放送に実装し、生中継配信しました。

 これらは、国内最大級の動画サービスと通信事業者が、互いに共通するネットワークの課題に挑戦し、解決する取り組みとして、今後動画サービス利用者のユーザ視聴体験とネットワーク効率化の飛躍的な向上を図ります。

「視聴品質最適化技術」の評価および実証実験の開始

 niconico(ニコニコ動画・ニコニコ生放送の総称)の体感品質向上に向けた共同実験の取り組みとして、NTTでは「視聴品質最適化技術」を実現する品質APIの試作環境を設置するとともに、ドワンゴでは品質APIに接続し、最適化を可能とする機能をスマホ向けアプリに組み込みました。
 ドワンゴでは最適化機能の適用に先立ち、視聴品質最適化技術の適用性を評価する目的で、Android端末を利用している一部ユーザの視聴情報をNTTの品質APIに送信、レコメンド情報を受け配信レートを最適化した場合にどの程度体感品質が向上するかどうかを分析する実験を行いました。
その結果、以下の効果が期待できることを確認しました。

■効果の概要
(1)再生停止発生率の減少:
最繁時には33%のユーザの再生停止が発生しているところ、本技術を適用すると発生率を1~2%に低減させることが可能であることを確認しました。
(2)体感品質(QoE)の向上:
ユーザの体感品質であるQoEスコアをモデルにより評価したところ、再生停止発生率の低減などにより最繁時で35%の向上,一日平均でも20%向上が可能なことを確認しました。
(3)通信データ総量の低減:
本技術を適用し、配信レートを最適化することによる効果として、通信データ総量が17%低減(注1)したことを確認しました。
以上の結果より、大きな品質改善が見込めると判断したことから、ドワンゴでは11月20日より実際にユーザに試験提供し、実証実験を開始します(注2)。
これにより、ユーザが再生停止に遭遇する率は激減し、体感品質の向上が期待できます。

(注1)通信データ総量の増減はユーザが利用するネットワーク環境により異なります。
(注2)対象ユーザはドワンゴ社が提供しているAndroid向け公式アプリ利用ユーザから無作為に抽出

「H.265/HEVC」技術をニコニコ生放送に適用する共同実験を開始

 4K・8Kサービスをはじめとする高臨場なサービスを従来と同一の帯域で提供することが可能な、次世代映像符号化規格のHEVCを「ニコニコ生放送」に適用する共同実験を開始します。 これまで、HEVCは従来の規格であるH.264と比較して処理負荷が高く、特にライブ配信サービスを低コストで行うことが極めて困難でした。

 NTTではHEVCを高速に圧縮するソフトウェア技術の研究を行っておりますが、更に、低レート・小画面動作向けに最適化を図ったことで、低レートでも小画面を高画質にリアルタイム圧縮できるソフトウェア技術を確立しました。これにより、PCだけでリアルタイム圧縮が可能となり、安価なライブ配信サービスを構築できます。

 今回は、本技術をドワンゴのニコニコ生放送に適用し、処理性能・画質および帯域削減効果を実証する共同実験に着手いたします。また、これまでHEVCを用いた配信検証は4K・8Kなどの大画面映像で行われておりましたが、今回はモバイル向け解像度におけるライブ配信検証を実施します。本技術の採用により、国内最大級のライブ配信サービス「ニコニコ生放送」において、画質の向上およびトラフィック削減効果が期待されます。

■概要・特徴
 従来のH.264と比較してデータ量を最大50%削減しつつ、小画面に合わせて領域分割処理や並列処理の最適化を図ったほか、データ量の割り当てを細かく制御したことで、特に小画面・低レート動作時の実行速度および画質を向上させました。
・画像特徴量や周囲との相関性を利用した高速なブロックサイズ
・予測モード選択処理に加え、独自のパイプライン処理のチューニングにより並列化しにくい小画面時でも高い並列化効率を維持し、リアルタイム圧縮を可能としました。
・人間の視覚特性に基づいて必要な領域に符号量を割り当てる「局所QP変動処理」により、低レートでも歪みが目立ちにくい画質を実現します。

「バーチャルリアリティLIVE配信サービス」の実用化と初回放送実施

 ドワンゴとNTTが共同開発した「全天球映像向けインタラクティブ配信技術」を実装した「バーチャルリアリティLIVE配信サービス」を、11月17日に開催された歌手・小林幸子氏の日本武道館公演でニコニコ生放送に実装し、生中継配信しました。同サービスは、ライブ会場に設置した360度全天球カメラの映像から、視聴者が「Oculus Rift」などのヘッドマウントディスプレイを通して好きな方向を自由に見渡すことのできる新しい視聴サービスで、見ている方向の映像を高品質に選択配信する技術を使い、視聴者がどの方向を向いても高品質な映像が視界を覆うため、あたかもその場にいるかのような臨場感あふれる映像を体験することが可能となりました。

<全天球映像向けインタラクティブ配信技術 概要>
 「全天球映像向けインタラクティブ配信技術」は、全天で広範囲に撮影された映像をいくつかの領域に分割し個別に高品質エンコード後、ユーザが見ている方向に応じた領域の高品質映像を選択配信する技術です。見ている方向の領域のみが高品質に視聴できることから、全天球映像全域を高品質に配信するよりも限られた帯域で配信できるようになります。
 本年2月の成果発表後、システムをライブ化するための技術開発を引き続き進めてまいりましたが、このたび、このエンコード処理を実時間で行うシステムの構築が完了いたしました。

【バーチャルリアリティ生放送視聴用アプリケ―ション】
 本サービスの開始にあたり、ドワンゴでは2014年2月に発表したNTTとの「全天球映像向けインタラクティブ配信技術」を実装した「バーチャルリアリティ生放送視聴アプリケ―ション」を制作しました。同アプリケーションをパソコンにインストールすることで、ヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」を活用して、バーチャルリアリティLIVEに対応したニコニコ生放送を360度の映像で楽しむことができます。
■アプリケーションダウンロード案内:http://blog.nicovideo.jp/niconews/ni049632.html